灘のけんか祭りとは

姫路市白浜町の松原八幡神社で行われる秋季例祭の名称である。「灘のけんか祭り」は、また「灘まつり」とか、「妻鹿のけんか祭り」とも呼ばれ、古めかしい神輿をぶつけ合う特殊な神事によって、天下の奇祭だとか、全国の数ある「けんか祭り」の中でも最大規模の祭りであるといわれ、すでに戦前から播磨を代表する祭りとして知られていた。戦後は、この神輿練りのほか、絢爛たる屋台を盛大に練り競う勇壮豪華な屋台練りが人気を呼び、国内はもとより海外にまでその名を知られるようになった。

祭礼地域・氏子

「灘のけんか祭り」の祭礼地域・氏子は、兵庫県姫路市の南東部海岸地域のうち、現在の地名でいえば、旧東山村(東山町)・旧八家村(八家町)・木場港(木場町)・旧宇佐崎村(白浜町)・旧中村(白浜町)・𦾔松原村(白浜町)・妻鹿町(飾磨区妻鹿町)を合わせた地域で、一般に灘地域とか灘地区などと呼ばれている。

祭礼日程

「灘のけんか祭り」は、その年の祭りが終わると、すぐ引き続いて次の年の祭りが始まっているなどと言われる。それほど、「灘のけんか祭り」の実施には長い準備期間が必要であるという意味であるが。次の年の祭りを楽しみに、これからの一年間をがんばろうという人々のささやかな気持ちがこめられているようにも感じられる。

10月に入ると実質的に祭りが始まっていることは確かである。祭礼地域では10月は祭月(まつりづき)とされ、松原八幡神社拝殿には神輿が据えられ。各村の入口には日参(にっさん)と呼ばれる鳥居が立てられ祭礼用の御神灯が灯され。ここから各町、また各個人の家庭においても祭りの準備に追われる。

やがて迎えるのが10月14日、15日の祭り当日である。「灘まつり」の祭礼日程は宵宮(夜宮)と本宮(昼宮)の2日間にかけて執り行われる。14日の宵宮で幕を開け、各村の氏子たちがそれぞれの屋台を練り上げて松原八幡神社に赴き祭礼気分を盛り上げる。

祭り本番の翌15日の本宮は、祭礼の主要行事である御旅山(おたびやま)への神輿神事渡御(みこししんじとぎょ)を氏子たちが精力を上げて執行し、日暮れ時に神輿は松原八幡神社へ還御(かんぎょ)、屋台はそれぞれの村に帰着して祭り行事の幕を閉じる。